オイルヒーターの電気代はいくら?稼働率を入れて計算する

最終更新:2026年8月8日|執筆:瀬尾 健一

オイルヒーターの電気代を調べると、「1ヶ月2,800円」と書いてある記事と「1ヶ月33,480円」と書いてある記事が並んで出てきます。
どちらも間違いではありません。前提が違うだけです。
このページでは、その前提そのものを入力して計算できるようにしました。

W
時間
円/kWh
1ヶ月の電気代(概算)

ひと冬(12〜3月の4ヶ月)で

実効的な消費電力
1時間あたり
1日あたり
1ヶ月(入力した日数分)

※計算式:消費電力(kW)×稼働率×使用時間×単価。

このページの早見表(稼働率別のオイルヒーター電気代)は、出典を明記していただければ引用いただけます(許諾申請は不要です)。
出典:光熱費ラボ(https://kounetsu.lifeup-lab.com/oil-heater/)
数値は電力量の目安単価の改定で変わるため、各ページに記載している確認日もあわせてご記載ください。
詳しくは運営者情報・引用についてをご覧ください。

オイルヒーターとは——電気代に効く3つの特徴

本体の中に密閉された難燃性のオイルが入っていて、電気ヒーターでそれを温め、フィン(放熱板)から熱を放つ暖房器具です。
オイルを燃やすわけではないので、給油は不要です。

電気代を考えるうえで押さえておきたい特徴は3つあります。

  1. 風を出さない
    ファンで送風せず、輻射熱と自然対流で部屋を暖めます。音がしない代わりに、暖まるまでに時間がかかります。この立ち上がりの時間帯は消費電力が高いままになります。
  2. 電気を直接熱に変える
    投入した電力量を超える熱は出せません。エアコンのように外の熱を運んでくる仕組みではないため、部屋全体を暖める用途では電気代が高くなりやすいという構造上の制約があります。
  3. 本体に熱を蓄える
    オイルが温まっているため、電源を切ってもしばらく暖かさが残ります。就寝や外出の30分前に切っても室温はすぐには落ちません。これは電気代を下げる余地になります。

なお、近年はオイルを使わない「オイルレスヒーター」「マルチダイナミックヒーター」も増えています。
オイルの代わりに金属モジュールを直接温める方式で、立ち上がりが速いぶん、同じ設定でも稼働率が下がりやすい傾向があります。ただし消費電力の定格自体は同等(1200〜1500W前後)なので、このページの計算方法はそのまま使えます

記事によって金額が10倍違う理由

まず、検索して出てくる金額のばらつきを整理します。
いずれも実在する解説記事の記載です。

書かれている金額(1ヶ月)前提
2,800〜6,700円1日8時間程度・エコ運転を想定
6,696〜33,480円24時間つけっぱなし・定格出力を想定

同じ「オイルヒーターの電気代」でも、使用時間と消費電力の置き方が違えば10倍近い差が出ます。
読者からすると、どちらを信じればいいのか分かりません。

差が生まれる要素は3つだけです。

  • 消費電力——500W/700W/1200Wのどれで計算しているか
  • 使用時間——1日8時間か、24時間か
  • 稼働率——定格の出力が出続ける前提か、断続運転を考慮しているか

このうち3つ目に触れている記事がほとんどありません。ここが金額を大きく左右します。

「定格W×時間」では計算できない

オイルヒーターにはサーモスタットが入っています。設定温度に達すると通電を止め、下がるとまた通電する——この運転と停止を繰り返す仕組みです。

つまり電源を入れている間ずっと定格の電力を使っているわけではありません

1200Wの機種を8時間つけた場合で比べます。

前提1日の電気代1ヶ月(30日)
稼働率100%(止まらない想定)約298円約8,928円
稼働率60%(断続運転を考慮)約179円約5,357円
稼働率40%(暖まった部屋を維持)約119円約3,571円

同じ機種・同じ使用時間でも、稼働率だけで2.5倍の開きが出ます。
上のツールで稼働率を変えられるようにしたのはこのためです。

稼働率をどう見積もるか

正確な稼働率は住まいの断熱性能と設定温度で決まるため、一律の数値はありません。
ただし、次の要素で上下することは言えます。

稼働率が上がる(電気代が増える)稼働率が下がる(電気代が減る)
設定温度が高い設定温度が低い
部屋が広い/機種の能力に対して部屋が大きい部屋が狭い/能力に余裕がある
窓が大きい・断熱されていない断熱カーテン・二重窓がある
外気温が低い(真冬・明け方)外気温が高い(初冬・日中)
ドアの開閉が多い/隙間がある気密性が高い

目安としては、暖め始めの1時間はほぼ100%、部屋が安定してからは40〜70%程度に落ち着くと考えると実感に近くなります。
本ページの初期値を60%にしているのはこのためです。

より正確に知りたい場合は、ワットチェッカー(消費電力計)をコンセントとの間に挟むと実測できます。

条件別の電気代早見表

上のツールと同じ式で、代表的な条件を先に計算しました。稼働率60%・31円/kWhでの金額です。

消費電力1時間1日8時間1ヶ月(8時間×30日)1ヶ月(24時間×30日)
500W(弱)約9.3円約74円約2,232円約6,696円
700W(中)約13.0円約104円約3,125円約9,374円
1,200W(強)約22.3円約179円約5,357円約16,070円
1,500W(大型)約27.9円約223円約6,696円約20,088円

1200Wの機種を1日8時間使えば1ヶ月で約5,400円、24時間つけっぱなしなら約16,000円です。
「高い」と言われるのは、この24時間側の数字が独り歩きしている面もあります。

出力が足りないと、かえって高くつきます

電気代を抑えようとして、あえて小さい機種を選ぶ人がいます。これは逆効果になることがあります

理由は稼働率です。部屋の広さに対して能力が足りない機種は、設定温度に到達できず、いつまでも運転し続けます。つまり稼働率が100%に張り付きます。

10畳の部屋を、700Wの機種と1200Wの機種で暖める場合を比べます。

機種稼働率実効的な消費電力1ヶ月(8時間×30日)
700W(能力不足)100%(止まらない)700W約5,208円
1,200W(余裕あり)60%720W約5,357円
1,200W(断熱対策あり)45%540W約4,018円

700Wの機種を回し続けても、1200Wの機種を6割で使うのとほぼ同額です。しかも部屋は暖まりません
さらに断熱対策で稼働率が45%まで下がれば、1200Wのほうが安く済みます。

メーカーが示す対応畳数を下回る機種は選ばないほうが、結果として電気代は下がります。
「W数が小さい=電気代が安い」は、稼働率を無視した比較です。

他の暖房器具と比べるとどうか

暖房器具ごとに1ヶ月(1日8時間・30日・31円/kWh)の電気代を並べます。
オイルヒーターのみ稼働率60%、他は当サイトの電気代計算ツールと同じ条件です。

暖房器具消費電力の目安1ヶ月(8時間×30日)
電気毛布50W約372円
こたつ(強)200W約1,488円
エアコン暖房平均620W約4,613円
ホットカーペット(2畳・中)500W約3,720円
オイルヒーター(強)1,200W×稼働率60%約5,357円
セラミックヒーター(強)1,100W約8,184円

オイルヒーターはエアコン暖房よりやや高く、セラミックヒーターよりは安い位置にあります。
「暖房器具の中で最も高い」と書かれることがありますが、稼働率を考慮すると、常時定格で動くセラミックヒーターのほうが高くつきます。

一方で、部屋全体を暖める用途でエアコンと比べると不利なのは事実です。理由は次の章のとおりです。

なぜエアコンより高くなるのか

暖房の方式が根本的に違うためです。

方式仕組み投入した電力に対する熱
エアコン(ヒートポンプ)外の空気から熱を集めて室内へ運ぶ投入した電力より多い熱を出せる
オイルヒーター(電気抵抗)電気をそのまま熱に変える投入した電力と同じ熱まで(それ以上は出せない)

エアコンは「熱を作る」のではなく「熱を運ぶポンプ」なので、少ないエネルギーで冷暖房ができます。
これは資源エネルギー庁も同じ説明をしています。

オイルヒーター・セラミックヒーター・電気ストーブはいずれも電気を熱に変える方式なので、この差は使い方では埋まりません
「部屋全体を安く暖めたい」という目的なら、エアコンのほうが構造的に有利です。

電気代を下げる方法と、その効果

資源エネルギー庁が省エネルギーセンターの実測値をもとに公表している、暖房の省エネ効果です(31円/kWh換算・エアコン2.2kW・9時間/日での試算)。

やること年間の削減量年間の節約額
設定温度を21℃→20℃にする53.08kWh約1,650円
1日1時間短縮する40.73kWh約1,260円

オイルヒーターでも考え方は同じで、設定温度と運転時間の2つが効きます
そのうえで、オイルヒーター特有の対策を挙げます。

  1. 窓際・冷気の入口に置く
    冷たい空気が入ってくる場所で暖めると、部屋の温度ムラが減り、サーモスタットの作動が安定します。結果として稼働率が下がります。
  2. 部屋の広さに合った出力を選ぶ
    能力不足の機種を強で回し続けるより、余裕のある機種を中で使うほうが稼働率は下がります。
  3. 断熱カーテン・隙間対策をする
    熱が逃げる量が減れば、そのぶん通電時間が短くなります。上の稼働率の表がそのまま効いてきます。
  4. タイマーで区切る
    オイルヒーターは電源を切っても本体に熱が残るため、就寝や外出の30分前に切っても室温はすぐには落ちません。
  5. 電力会社・プランを見直す
    使用量ではなく単価を下げる方法です。上のツールの単価を変えると、影響額がその場で確認できます。

それでもオイルヒーターを選ぶ理由

電気代だけを見ればエアコンが有利です。それでもオイルヒーターが選ばれるのは、電気代では測れない条件があるためです。

向いている場面向いていない場面
寝室(運転音がほとんどしない)広いリビングを短時間で暖めたい
子ども部屋(表面温度が低く、燃焼もしない)帰宅後すぐ暖まってほしい
乾燥が気になる(風が出ない)電気代を最優先したい
エアコンの風が苦手24時間つけたままにしたい
換気が難しい部屋(空気を汚さない)頻繁に持ち運びたい(本体が重い)

暖まるまでに時間がかかる点は、タイマーで起床・帰宅の1時間前から動かすことで実用上は解消できます。
そのぶん運転時間は延びるので、上のツールで実際の金額を確認してから判断してください。

よくある質問

Q. オイルヒーターの電気代は1ヶ月いくら?
A. 1200Wの機種を1日8時間・30日・稼働率60%で使うと、31円/kWhで約5,357円です。
24時間つけっぱなしなら約16,070円になります。使用時間と稼働率で大きく変わるため、上のツールで自分の条件を入れて確認してください。
Q. なぜ記事によって金額が違うの?
A. 前提が違うためです。1日8時間・エコ運転で計算した記事と、24時間・定格出力で計算した記事では10倍近い差になります。
特に稼働率(サーモスタットによる断続運転)を考慮しているかどうかで金額が変わります。
Q. エアコン暖房とどちらが安い?
A. エアコンのほうが安く済みます。エアコンは外の熱を運ぶヒートポンプ方式なので、投入した電力より多くの熱を室内に持ち込めるためです。
オイルヒーターは電気をそのまま熱に変える方式なので、投入した電力を超える熱は出せません。
Q. つけっぱなしのほうが安い?
A. 部屋が暖まったあとは消費電力が下がるため、こまめに消して冷え切った部屋を暖め直すより有利になる場面はあります。
ただし長時間の外出や就寝時は、つけ続けるほど総消費量は増えます。タイマーで区切るほうが確実です。
Q. 消費電力は何W?
A. 3段階に切り替えられる機種が多く、500W・700W・1200Wという構成が一般的です。
畳数が大きい機種では1500W前後になります。正確な数値は本体の銘板か取扱説明書で確認してください。
Q. 電気代が高いと言われるのはなぜ?
A. 定格の消費電力が1200W前後と大きいためです。ただし実際にはサーモスタットで断続運転するため、常時1200Wを消費し続けるわけではありません。
「1200W×24時間」で計算した金額が独り歩きしている面があります。

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オイルヒーターを使い続けるなら、電気の買い方から見直す手もあります

オイルヒーターは立ち上がりが遅く、つけっぱなしで使うほど効率がよくなる器具です。
そのため使用時間が長くなりやすく、電気代の絶対額も大きくなります。
使い方を変えずに下げるなら、電気そのものを安く調達する方向になります。
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計算の前提(2026年8月8日確認):単価の初期値は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会の電力料金目安単価31円/kWh(税込・令和4年7月改定)です。
消費電力は一般的な機種の目安であり、機種・使用状況により変動します。
稼働率は住まいの断熱性能・設定温度・外気温で変わるため、本ページの60%はあくまで初期値です。正確に知りたい場合はワットチェッカーでの実測をおすすめします。
他の暖房器具との比較は、当サイトの電気代計算ツールと同じ条件(1日8時間・30日・31円/kWh)で算出しています。
本ツールは概算の目安としてご利用ください。
出典:全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「空調」

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