電気毛布の電気代が記事によって10倍違う理由

最終更新:2026年8月9日|執筆:瀬尾 健一

電気毛布の電気代を調べると、「1日約12円」という説明と「1日約1.2円」という説明が同時に出てきます。
どちらも間違いではありません。
同じ50Wの製品でも、定格で計算するか、サーモスタットの断続運転を織り込むかで10倍の差が出るためです。
このページでは稼働率を入力できる計算ツールで、自分の使い方に合った金額を出せるようにしました。

W
%
時間
円/kWh
1ヶ月の電気代(概算)

ひと冬(169日)で

実効の消費電力
1時間あたり
1日あたり
1ヶ月(入力した日数分)

※計算式:定格(kW)×稼働率×使用時間×単価。

このページの早見表(電気毛布の電気代)は、出典を明記していただければ引用いただけます(許諾申請は不要です)。
出典:光熱費ラボ(https://kounetsu.lifeup-lab.com/mofu/)
数値は電力量の目安単価の改定で変わるため、各ページに記載している確認日もあわせてご記載ください。
詳しくは運営者情報・引用についてをご覧ください。

なぜ記事によって10倍違うのか

電気毛布の電気代を説明する記事には、大きく3種類の数字が出てきます。

よく見る表現裏にある消費電力1日8時間なら
「1時間 約1.6円」定格50W12.4円
「1時間 約1円」実効32W相当7.9円
「1日 約1.2円」実効5W相当1.2円

いちばん上といちばん下で10倍開いています。
どれも嘘ではなく、何を基準に計算したかが違うだけです。

電気毛布にはサーモスタットが入っていて、設定した温度に達すると電気を止め、下がるとまた流します。
つまりスイッチが入っている間ずっと定格の電力を使っているわけではありません

本体に書いてある「50W」の意味:これは最も高い設定で連続運転したときの値です。
実際には温度が保たれると電気が止まるため、平均するとこれより小さくなります。
メーカーが「1日約1.2円」と書けるのは、この断続を織り込んだ実測値だからです。

この構造はオイルヒーターとまったく同じです。
オイルヒーターも「月2,000円」と「月2万円」の両方の説明が出回りますが、原因は同じく稼働率でした。

そこでこのページの計算ツールでは、稼働率を入力できるようにしています。

稼働率別の電気代早見表

定格50Wの敷き毛布を1日8時間・30日・31円/kWhで使った場合です。

設定の目安稼働率実効の消費電力1時間1日(8時間)1ヶ月
強で連続(上限)100%50W1.6円12.4円372円
70%35W1.1円8.7円260円
50%25W0.8円6.2円186円
30%15W0.5円3.7円112円
弱+布団で保温10%5W0.2円1.2円37.2円

設定を強から弱に変えるだけで1ヶ月372円→112円と3分の1以下になります。
ただし、もともとの金額が小さいので、差額は月260円です。
電気毛布はどう使っても大きな金額にはならない器具だ、という点は押さえておいてください。

種類別の消費電力

定格の目安と、稼働率50%(中設定)で1日8時間・30日使った場合の金額です。

種類定格の目安1時間(定格)1ヶ月(定格)1ヶ月(稼働率50%)
USB電気毛布8W0.2円59.5円29.8円
ひざ掛け40W1.2円298円149円
敷き毛布50W1.6円372円186円
掛け毛布55W1.7円409円205円
掛け敷き兼用75W2.3円558円279円

種類による差は、そのまま面積の差です。
暖める範囲が広いほど定格が上がります。

  • 敷き毛布——体の下に敷く。
    熱が体と布団に閉じ込められるため、同じ暖かさなら最も効率がよい
  • 掛け毛布——体の上にかける。
    上から熱が逃げるぶん、敷きより不利
  • 掛け敷き兼用——面積が大きく定格も高い。
    ただし敷きとして使えば効率は敷き毛布と同じ
  • ひざ掛け——デスクワーク向け。
    面積が小さく定格も低い
  • USB電気毛布——モバイルバッテリーでも動く。
    8W前後と桁が違うが、暖かさも控えめ

迷ったら敷き毛布が基本です。
暖かい空気は上に逃げるため、下から暖めるほうが少ない電力で済みます。

24時間つけっぱなしにするといくら

定格50Wの敷き毛布を、24時間つけたまま30日過ごした場合です。

稼働率1日1ヶ月(30日)ひと冬(169日)
100%(上限)37.2円1,116円6,287円
50%(中)18.6円558円3,143円
30%(弱)11.2円335円1,886円

24時間つけっぱなしでも、上限で1ヶ月1,116円です。
同じ条件で電気ストーブ(800W)をつけっぱなしにすると1ヶ月17,856円なので、16分の1で済みます。

ただし金額の問題とは別に、つけっぱなしは推奨されません(理由はつけっぱなしの注意点)。

エアコンを1℃下げて電気毛布を足すと得か

ここがこのページで最も実用的な部分です。
「電気毛布は安い」で終わらせず、電気毛布を足したときに暖房費の合計がいくら変わるかを計算します。

資源エネルギー庁は、暖房の設定温度を下げた場合の効果を次のように示しています。

資源エネルギー庁 省エネポータルサイトより:外気温度6℃のとき、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間9時間/日)、年間で電気53.08kWhの省エネとなり、約1,650円の節約になります。
※同サイトはひと冬を169日として計算しています。
※53.08kWh×31円=1,645円となり、当ページと同じ目安単価31円/kWhにもとづく数字です。

つまりエアコンを1℃下げると、ひと冬で1,650円浮きます
この浮いた分より電気毛布の電気代が小さければ、トータルで得になります。

電気毛布をひと冬(169日・1日9時間)使ったコストと比べます。

電気毛布の使い方実効の消費電力ひと冬のコストエアコン1℃分(1,650円)との差引
強で連続50W2,358円−708円(損)
強(稼働率70%)35W1,650円±0円(分かれ目)
中(稼働率50%)25W1,179円+471円(得)
弱(稼働率30%)15W707円+943円(得)
弱+布団で保温5W236円+1,414円(得)

分かれ目は実効35Wです。
電気毛布を強で回しっぱなしにすると、エアコンを1℃下げて浮いた分を食いつぶします。
逆に弱で使えば、ひと冬で943円の得になります。

この試算の読み方:「電気毛布を買えば必ず得」ではなく、弱で使ったときにだけ得になるという結果です。
電気毛布は体に密着するため、弱でも十分暖かく感じられます。強で使う必要がある場面はほとんどありません
なお上の比較は、エアコンの設定を実際に1℃下げた場合の話です。設定を下げずに電気毛布を足すだけなら、単純に電気毛布のぶんが増えます。

暖房を1時間早く切る場合

設定温度を変えず、暖房を1時間早く切って電気毛布で寝るという使い方もあります。
こちらのほうが効果は確実です。

資源エネルギー庁 省エネポータルサイトより:暖房を1日1時間短縮した場合(設定温度20℃)、年間で電気40.73kWhの省エネとなり、約1,260円の節約になります。
電気毛布の使い方1時間分のひと冬コストエアコン1時間分(1,260円)との差引
強で連続(実効50W)262円+998円(得)
中(実効25W)131円+1,129円(得)
弱(実効15W)78.6円+1,181円(得)

こちらは強で使っても得になります。
エアコンを1時間止めるのに対し、電気毛布は1時間分しか足さないためです。

電気毛布のいちばん効果的な使い方は、寝る前に布団を温めておき、暖房を切るという形になります。

ただし室温を下げすぎないこと

ここまで「エアコンを1℃下げる」「暖房を1時間早く切る」という節約を紹介しましたが、下げてよい限度があります

WHO(世界保健機関)「住宅と健康に関するガイドライン」(2018年):寒さによる健康影響から居住者を守るため、冬季の室内温度は18℃以上を強く勧告しています。
特に65歳以上の方や持病のある方では、この基準がより重要とされています。

資源エネルギー庁が目安としている暖房時の室温20℃は、この18℃を上回る水準です。
つまり21℃→20℃に下げるのは範囲内ですが、そこからさらに下げ続けるのは別の話になります。

電気毛布は体を直接暖める器具なので、体感は暖かくても部屋の空気は冷えたままです。
次の点に注意してください。

  • 布団から出た瞬間に冷たい空気にさらされる——急激な温度差は血圧の変動を招きます(ヒートショック)。
    特に高齢の方や高血圧の方は注意が必要です
  • 脱衣所・浴室・トイレは暖房のない家が多い——寝室だけ暖かくしても、移動先が寒ければ温度差は残ります
  • 結露・カビ——室温が下がると窓や壁が結露しやすくなります

電気毛布は暖房の代わりではなく、暖房を少しだけ弱められる補助と考えるのが安全です。
「電気代が安いから暖房を全部切る」という使い方は勧められません。

電気の単価が違うといくら変わるか

このページは目安単価31円/kWhで計算しています。
定格50W・稼働率50%(実効25W)で1日8時間・30日使った場合の比較です。

単価1時間1ヶ月ひと冬(169日)
22円/kWh0.6円132円744円
27円/kWh0.7円162円913円
31円/kWh(本ページの前提)0.8円186円1,048円
35円/kWh0.9円210円1,183円
40円/kWh1円240円1,352円

単価が10円違っても、ひと冬で約300円の差です。
電気毛布はもともとの金額が小さいため、単価の影響も小さい器具といえます。

他の暖房器具との比較

すべて1日8時間・30日・31円/kWhの同じ条件で計算しました。
この表では、器具ごとの定格と稼働率をそろえて上限を比べています。

暖房器具定格稼働率1時間1ヶ月
こたつ(弱)80W60%1.5円357円
電気毛布50W100%1.6円372円
こたつ(強)200W60%3.7円893円
ホットカーペット2畳(中)500W100%15.5円3,720円
パネルヒーター900W60%16.7円4,018円
エアコン暖房620W100%19.2円4,613円
オイルヒーター(強)1,200W60%22.3円5,357円
電気ストーブ800W100%24.8円5,952円
セラミックファンヒーター(強)1,100W100%34.1円8,184円

電気毛布はこたつ(弱)とほぼ並んで最安です。
エアコン暖房の12分の1、電気ストーブの16分の1になります。

なおこの表の電気毛布は稼働率100%(上限)で計算しています
実際には稼働率50%前後で使われることが多いため、実感はもっと安くなります。
11種類をまとめた表は暖房器具11種の電気代比較にあります。

電気代を下げる4つの方法

電気毛布の電気代は 定格 × 稼働率 × 時間 × 単価 で決まります。
このうち自分で動かせるのは、稼働率と時間です。

  1. 上から布団や毛布をかける
    熱が逃げなければ設定温度に早く達し、サーモスタットが止まる時間が長くなります。
    つまり稼働率が下がるということで、同じ設定でも電気代が下がります。
  2. 弱で使う
    稼働率30%なら1ヶ月112円です。
    体に密着する器具なので、弱でも十分暖かく感じられます。
  3. 寝る前に温めて、寝るときは切る
    布団に入る30分前につけて温めておけば、就寝中は切っていても暖かさが残ります。
    電気代が下がるうえ、低温やけどや脱水のリスクも避けられます。
  4. 体に合ったサイズを選ぶ
    使わない部分を温めても意味がありません。
    ひとりで使うなら敷き毛布、デスクワークならひざ掛けで足ります。

1番目は、他の暖房器具では成り立たない電気毛布ならではの方法です。
エアコンやストーブは「熱を逃がさない」ことが電気代に直結しませんが、電気毛布は布団という断熱材の中で使うため、保温がそのまま稼働率の低下につながります。

つけっぱなしの注意点

電気毛布は電気代が安いため、つけっぱなしにしたくなります。
ただし金額とは別の理由で、就寝中の連続使用は勧められていません。

リスク内容
低温やけど体温より少し高い温度でも、長時間同じ場所に触れ続けると皮膚の深い部分が損傷することがあります。就寝中は体勢が変わりにくく、気づきにくいのが特徴です
脱水睡眠中は汗をかきます。暖め続けると発汗量が増え、水分が失われます
睡眠の質人は眠りに入るとき体温を下げます。暖め続けると体温が下がりにくく、寝つきや眠りの深さに影響することがあります
断線・発火内部の電熱線は折り曲げに弱く、繰り返し折りたたむと断線することがあります。古い製品や折りぐせのある製品は使用を避けてください

これらを踏まえると、寝る前に温めて、就寝時は切る(またはタイマーで切る)という使い方が、電気代の面でも安全面でも最も合理的です。

よくある質問

Q. 電気毛布の電気代は1時間いくら?
A. 定格50Wの敷き毛布なら1時間1.6円が上限です。
ただしサーモスタットで断続運転するため、弱で使えば1時間0.5円前後まで下がります。
Q. 記事によって金額が違うのはなぜ?
A. 定格で計算しているか、断続運転を織り込んだ実測値かの差です。
同じ50Wの製品でも、定格なら1日8時間で12.4円、実効5W相当なら1日1.2円で、10倍開きます。
Q. 24時間つけっぱなしにするといくら?
A. 定格50Wで計算した上限が1日37.2円・1ヶ月1,116円です。
弱(実効15W)なら1ヶ月335円ほど。
ただし低温やけど・脱水のリスクがあるため、つけっぱなしは推奨されません。
Q. 電気毛布でエアコンの設定温度を下げると得?
A. 実効35W未満なら得です。
資源エネルギー庁によると暖房を21℃→20℃にするとひと冬1,650円の節約になり、電気毛布のひと冬コスト(169日・1日9時間)が実効35Wでちょうど1,650円と釣り合います。
弱(実効15W)で使えば差引943円の得です。
Q. 敷きと掛け、どちらが安い?
A. 定格は敷き50W・掛け55Wでほぼ同じですが、実際は敷きのほうが安く済みます
暖かい空気は上に逃げるため、下から暖めるほうが熱が体と布団に閉じ込められ、稼働率が下がるからです。
Q. こたつとどちらが安い?
A. ほぼ同じです。
1日8時間・30日でこたつ弱が357円、電気毛布(定格50W)が372円
ただし電気毛布は実際には稼働率50%前後で使うことが多いため、実感では電気毛布のほうが安くなります。
詳しくはこたつの電気代をご覧ください。
Q. 古い電気毛布は買い替えたほうがいい?
A. 電気代の面では大きな差は出ません(電気を熱に変える効率はほぼ100%で、新旧で変わらないため)。
ただし安全面では買い替えを検討する価値があります
電熱線は折り曲げに弱く、長年使った製品は断線のリスクが高まります。
計算の前提(2026年8月9日確認):単価は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会の電力料金目安単価31円/kWh(税込・令和4年7月改定)です。
消費電力は一般的な機種の目安であり、機種・サイズ・設定により変動します。
正確な数値は本体の銘板か取扱説明書でご確認ください。
稼働率(強80〜100%/中40〜60%/弱20〜30%)は、サーモスタットによる断続運転を踏まえた目安であり、室温・寝具・使用環境によって変わります。
実測値ではありません。
エアコンの省エネ効果と「ひと冬169日」は資源エネルギー庁 省エネポータルサイトの数値です。
外気温6℃・エアコン2.2kW・1日9時間という前提での試算であり、住宅の断熱性や地域によって効果は変わります。
低温やけど・脱水に関する記述は一般的な注意事項です。
健康上の判断は医師にご相談ください。
WHOの室温18℃は「住宅と健康に関するガイドライン」(2018年)の勧告です。
出典:資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「空調」WHO Housing and health guidelines全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問

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