電気ストーブの電気代は「種類」ではなくW数で決まります

最終更新:2026年8月9日|執筆:瀬尾 健一

電気ストーブの電気代を調べると「カーボンヒーターは◯円、ハロゲンヒーターは◯円」という説明が並びます。
ですが、これらは同じW数なら電気代は同じです。
ハロゲンもカーボンもシーズも石英管も、電気を熱に変えるしくみは同じだからです。
違うのは電気代ではなく暖まり方で、種類別の金額差として紹介されているのは、単にその種類に多い機種のW数が違うだけです。

W
時間
円/kWh
1ヶ月の電気代(概算)

ひと冬(4ヶ月)で

1時間あたり
1日あたり
1ヶ月(入力した日数分)

※計算式:消費電力(kW)×使用時間×単価。

このページの早見表(電気ストーブの電気代)は、出典を明記していただければ引用いただけます(許諾申請は不要です)。
出典:光熱費ラボ(https://kounetsu.lifeup-lab.com/denki-stove/)
数値は電力量の目安単価の改定で変わるため、各ページに記載している確認日もあわせてご記載ください。
詳しくは運営者情報・引用についてをご覧ください。

W数別の電気代早見表

1日8時間・30日・31円/kWhで計算しました。
帰宅後から就寝までを想定した時間です。

消費電力1時間1日(8時間)1ヶ月ひと冬(4ヶ月)
200W6.2円49.6円1,488円5,952円
300W9.3円74.4円2,232円8,928円
400W12.4円99.2円2,976円11,904円
500W15.5円124円3,720円14,880円
600W18.6円149円4,464円17,856円
700W21.7円174円5,208円20,832円
800W(最も一般的)24.8円198円5,952円23,808円
900W27.9円223円6,696円26,784円
1,000W31円248円7,440円29,760円
1,200W37.2円298円8,928円35,712円
1,500W46.5円372円11,160円44,640円
暗算の基準:単価31円/kWhのとき、1,000Wを1時間使うとちょうど31円です。
ここを覚えておけば、800Wなら31円の8割で約25円、400Wなら4割で約12円、と暗算できます。

強弱の2段階切替がある機種では、切り替えるだけで電気代が半分になります。

切替弱の1時間強の1時間弱の1ヶ月強の1ヶ月
300W/600W9.3円18.6円2,232円4,464円
400W/800W12.4円24.8円2,976円5,952円
450W/900W14円27.9円3,348円6,696円
500W/1,000W15.5円31円3,720円7,440円

種類が違っても電気代が同じ理由

電気ストーブと呼ばれる製品には、発熱体の違いでいくつかの種類があります。

  • ハロゲンヒーター
  • カーボンヒーター
  • グラファイトヒーター
  • シーズヒーター
  • 石英管ヒーター

これらはすべて「電気抵抗で発熱する」方式です。
電気を発熱体に流し、抵抗によって熱が生まれるしくみで、投入した電力はほぼすべて熱になります

つまり、800Wのハロゲンヒーターも800Wのカーボンヒーターも、1時間で消費する電力量は同じ0.8kWhで、部屋に出る熱の総量も同じです。
単価31円/kWhなら、どちらも1時間24.8円です。

「カーボンヒーターは省エネ」という説明について:これは発熱の効率が良いという意味ではありません。
カーボンヒーターは遠赤外線が体に届きやすく、低い設定でも暖かく感じやすいため、結果的に弱で使う時間が増えて電気代が下がる、という話です。
同じW数で比べれば電気代は変わりません。

種類別に金額を並べている記事をよく見かけますが、その差は比較に使った機種のW数が違うだけです。
たとえば「ハロゲンは900Wで27.9円、カーボンは450Wで14円」という比較は、種類の差ではなくW数の差を見ています。
同じ450Wのハロゲンヒーターがあれば、それも14円です。

種類別の違いは「暖まり方」に出る

電気代が同じなら、種類を選ぶ意味はどこにあるのか。
違いは暖かさの届き方・立ち上がりの速さ・寿命に出ます。

種類暖まり方立ち上がり特徴
ハロゲンヒーター近赤外線。表面が熱くなる感じ数秒安価な機種が多い。明るく光る
カーボンヒーター遠赤外線。体の芯まで届きやすい数秒ハロゲンより広い範囲が暖まる
グラファイトヒーター遠赤外線。カーボンより強い1秒前後立ち上がりが最速の部類。価格は高め
シーズヒーター遠赤外線。金属管なので丈夫やや遅い寿命が長く、水しぶきにも比較的強い
石英管ヒーター近赤外線。ハロゲンに近い数秒最も安価。構造が単純

電気代は同じなので、選ぶ基準は「どこを暖めたいか」と「本体価格」になります。

  • 脱衣所・トイレで数分だけ——立ち上がりが速いハロゲン・石英管・グラファイト
  • デスク下で長時間——遠赤外線で芯が暖まるカーボン・シーズ
  • 水がかかる場所——金属管のシーズヒーター
  • とにかく安く——石英管ヒーター

「省エネ」をうたう機種は何が違うのか

「電気代60%削減」といった表示を見かけますが、発熱の効率が上がったわけではありません。
実際には次の3つのどれかです。

しくみ何が起きているか効果の出方
低いW数で使える設計200W/400Wなど、そもそも小さいW数の機種800W機を400Wで使うのと同じ。金額は半分
人感センサー人がいない間は自動で止まる止まっている時間の分だけ減る
反射板(リフレクト)熱を一方向に集めて体に届ける低い設定でも暖かく感じるため、弱で足りるようになる

いずれも「使うW数」か「使う時間」を減らしているだけです。
電気ストーブの電気代は W数 × 時間 × 単価 でしか決まらないので、この2つ以外に下げようがありません。

人感センサーの効果を、稼働率で試算すると次のようになります(800W・1日8時間・30日)。

実際に動いている割合1ヶ月つけっぱなしとの差
100%(センサーなし)5,952円
70%4,166円−1,786円
50%2,976円−2,976円
30%1,786円−4,166円

人の出入りが多い脱衣所やトイレでは、センサーが効く場面が多くなります。
逆に、ずっと座っているデスク下ではセンサーはほとんど働かないため、効果は限られます。

エアコンとは4.5倍の差がつく

「電気ストーブは電気代が高い」と言われる根拠がここです。
ただし単純にW数を比べたのでは意味がありません。
同じ量の熱を出すのにいくらかかるかで比べます。

出せる熱必要な電力1時間1日8時間1ヶ月
エアコン暖房(10畳用)2,800W620W19.2円154円4,613円
電気ストーブ2,800W2,800W86.8円694円20,832円

同じ2,800Wの熱を出すのに、1ヶ月で16,219円の差がつきます。

理由は、エアコンが熱を作っているのではなく、外の空気から熱を集めて室内へ運んでいるからです(ヒートポンプ)。
620Wの電力で2,800W分の熱を運べるため、投入した電力の4.5倍の熱が得られます。
一方の電気ストーブは電気をそのまま熱に変えるため、投入した電力を超える熱は出せません。

それでも電気ストーブに意味がある理由:この比較は「部屋全体を2,800W分暖める」場合の話です。
脱衣所で3分だけ、デスクの足元だけ、という使い方なら部屋全体を暖める必要がなく、800Wで24.8円のほうが安く済みます。
電気ストーブは狭い範囲を短時間だけ暖めるための道具で、部屋全体を長時間暖める用途には向きません。

他の暖房器具との比較

すべて1日8時間・30日・31円/kWhの同じ条件で計算しました。
サーモスタットで断続運転する器具(こたつ・オイルヒーター・パネルヒーター)は稼働率60%、常時定格で動く器具は100%としています。

暖房器具定格稼働率1時間1ヶ月
こたつ(弱)80W60%1.5円357円
電気毛布50W100%1.6円372円
こたつ(強)200W60%3.7円893円
ホットカーペット2畳(中)500W100%15.5円3,720円
パネルヒーター900W60%16.7円4,018円
エアコン暖房620W100%19.2円4,613円
オイルヒーター(強)1,200W60%22.3円5,357円
電気ストーブ800W100%24.8円5,952円
カーボン/ハロゲン(大型)900W100%27.9円6,696円
セラミックファンヒーター(強)1,100W100%34.1円8,184円

電気ストーブは下から3番目に高い位置です。
こたつ(弱)と比べると16.7倍になります。

ただしこれは「1日8時間つけた場合」の比較で、電気ストーブをそういう使い方することは想定されていません。
使い方まで含めた比較は暖房器具11種の電気代比較にまとめています。

使用時間別の電気代

800Wの機種を基準に、実際の使い方に近い時間で計算しました。

1日の使用時間1日1ヶ月(30日)
30分12.4円372円
1時間24.8円744円
2時間49.6円1,488円
3時間74.4円2,232円
5時間124円3,720円
8時間198円5,952円
12時間298円8,928円
24時間(つけっぱなし)595円17,856円

脱衣所やトイレのように数分だけ使う場合は、金額がぐっと下がります。

1回の使用1回1日2回×30日
5分2.1円124円
10分4.1円248円
15分6.2円372円
20分8.3円496円
30分12.4円744円

入浴前に脱衣所で10分つけるだけなら、1ヶ月248円です。
「電気ストーブは電気代が高い」という評判は、部屋の主暖房として長時間使った場合の話で、こうした使い方なら負担は小さく済みます。

電気の単価が違うといくら変わるか

このページは目安単価31円/kWhで計算していますが、契約している会社やプランによって単価は変わります。
800Wを1日8時間・30日使った場合(月192kWh)で比べます。

単価1時間1ヶ月31円との差
22円/kWh17.6円4,224円−1,728円
27円/kWh21.6円5,184円−768円
31円/kWh(本ページの前提)24.8円5,952円
35円/kWh28円6,720円+768円
40円/kWh32円7,680円+1,728円
45円/kWh36円8,640円+2,688円

単価が10円違うと1ヶ月で約1,900円変わります。
自宅の単価は検針票や会員ページで確認でき、上の計算ツールの「電気料金の単価」に入力すれば実際の金額が出ます。

なお時間帯別プラン(夜間が安いプラン)を契約している場合、日中の単価はむしろ高く設定されていることがあります。
電気ストーブを夕方から使うなら、その時間帯の単価で計算してください。

1,200Wの機種はブレーカーに注意

電気ストーブは消費電力が大きいため、他の家電と同時に使うとブレーカーが落ちることがあります。
これは電気代とは別の、実際に困りやすい問題です。

100Vの回路では、消費電力を100で割った数字がそのままアンペア(A)になります。

消費電力電流
400W4.0A
600W6.0A
800W8.0A
1,000W10.0A
1,200W12.0A
1,500W15.0A

家庭のコンセントの回路(分岐回路)は一般に20A=2,000Wまでです。
同じ回路にあるコンセントで合計2,000Wを超えると、その回路のブレーカーが落ちます。

同時に使うもの合計結果
電気ストーブ800W + 電子レンジ1,400W2,200W(22.0A)落ちる可能性が高い
電気ストーブ1,200W + ドライヤー1,200W2,400W(24.0A)落ちる可能性が高い
電気ストーブ800W + 電気ケトル1,250W2,050W(20.5A)落ちる可能性がある
電気ストーブ1,200W + 炊飯器700W1,900W(19.0A)収まる
電気ストーブ800W + こたつ200W1,000W(10.0A)収まる

家全体の契約アンペアにも上限があります。
30A契約の家で、エアコン暖房620W+電気ストーブ800W+冷蔵庫250W+照明やテレビ300Wを使うと、合計1,970W=19.7Aで残りは10.3Aです。
ここに電子レンジ1,400W(14.0A)を足すと33.7Aとなり、家全体のブレーカーが落ちます

対策:電気ストーブは延長コード・タコ足配線を避けて壁のコンセントに直接挿すのが基本です(発熱・発火の危険もあるため)。
同じ部屋の別のコンセントでも、同じ分岐回路につながっていることがあります。落ちる場合は、使う機器を分散するか弱で使ってください。

電気代を下げる5つの方法

繰り返しになりますが、電気ストーブの電気代は W数 × 時間 × 単価 でしか決まりません。
したがって下げる方法も、この3つのどれかを小さくすることに限られます。

  1. 弱で使う
    800W機を400Wの弱で使えば、電気代はそのまま半分(1ヶ月5,952円→2,976円)になります。
    最も確実で、すぐできる方法です。
  2. 体に近づけて使う
    遠赤外線は距離が離れるほど届きません。
    足元に近づければ弱でも十分暖かく感じられ、1の「弱で使う」が実行しやすくなります。
  3. タイマー・人感センサーで切る
    使っていない時間を削ります。
    稼働率が50%になれば電気代も半分(1ヶ月2,976円)です。
  4. 狭い場所で使う
    脱衣所・トイレ・デスク下など、暖める空間が狭いほど短時間で済みます。
    10分×1日2回なら1ヶ月248円です。
  5. 部屋全体はエアコンに任せる
    部屋を暖めるのはエアコン、足元など足りない部分だけ電気ストーブ、という分担にします。
    同じ熱を電気ストーブだけで出すと4.5倍かかります。

なお「省エネモデルに買い替える」は、実質的には1の低W化です。
いま使っている機種に弱があるなら、買い替えなくても同じ効果が得られます。

よくある質問

Q. 電気ストーブの電気代は1時間いくら?
A. 800Wの機種で1時間24.8円(31円/kWhのとき)です。
1,000Wなら31円、400Wなら12.4円。
単価31円/kWhのときは「1kWで1時間31円」が基準になるので、W数を1,000で割って31を掛ければ暗算できます。
Q. カーボンヒーターとハロゲンヒーター、どちらが電気代が安い?
A. 同じW数なら同じです。
どちらも電気抵抗で発熱する方式で、投入した電力はほぼすべて熱になります。
種類による差として紹介されている金額は、その種類に多い機種のW数が違うだけです。
Q. 電気ストーブとエアコンはどちらが安い?
A. 同じ量の熱を出すならエアコンが約4.5倍安く済みます。
10畳用エアコンは620Wの電力で2,800W分の熱を運ぶため1時間19.2円ですが、電気ストーブで2,800Wの熱を出すには2,800Wの電力が必要で1時間86.8円です。
ただし部屋全体を暖める必要がない使い方(脱衣所・足元)では、電気ストーブのほうが安く済みます。
Q. 1日中つけっぱなしにするといくら?
A. 800Wの機種を24時間つけると1日595円、30日で17,856円です。
電気ストーブは部屋全体を暖める用途に向かないため、つけっぱなしは避けて必要な時間だけ使うのが基本です。
Q. 「省エネ」をうたう機種は本当に安い?
A. 発熱の効率が良いという意味ではありません。
低いW数で使える設計・人感センサー・反射板のいずれかです。
いずれも「使うW数と時間が減る」ことで電気代が下がります。
Q. 電気ストーブとオイルヒーターはどちらが安い?
A. 1日8時間の比較ではオイルヒーター(強)が1ヶ月5,357円、電気ストーブ(800W)が5,952円で、オイルヒーターがやや安くなります。
オイルヒーターは設定温度に達すると断続運転になるためです。
詳しくはオイルヒーターの電気代をご覧ください。
Q. 電気ストーブは何畳まで暖められる?
A. 部屋全体を暖める器具ではないため、畳数の目安は基本的に示されていません。
体に向けて使う「スポット暖房」と考えてください。
部屋全体を暖めたい場合はエアコンかオイルヒーターが適しています。

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電気ストーブはW数で決まる。下げたいなら電気の単価から

このページで示したとおり、電気ストーブの電気代は種類ではなくW数だけで決まります。
つまり機種を変えても、同じW数なら電気代は変わりません。
残る手は「使う時間を減らす」か「電気の単価を下げる」かの2つです。
蓄電池を入れると安い時間帯の電気を貯めて使えるため、単価側から下げられます。無料で複数社の見積もりを比べられます。

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計算の前提(2026年8月9日確認):単価は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会の電力料金目安単価31円/kWh(税込・令和4年7月改定)です。
消費電力は一般的な機種の目安であり、機種・設定により変動します。
正確な数値は本体の銘板か取扱説明書でご確認ください。
エアコンの数値は10畳用(定格暖房能力2.8kW・定格消費電力620W)の一般的な仕様を用いた計算例で、機種・外気温・部屋の断熱性により実際の効率は変わります。
外気温が低いほど効率は下がります。
「電気抵抗式の発熱体は投入電力がほぼすべて熱になる」という記述は、発熱のしくみ(ジュール熱)にもとづくものです。
実際の製品では本体の温度上昇などにわずかな差が生じます。
出典:全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問

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