「消費電力200W」で計算すると、電気代を1.8倍に見積もる
こたつの電気代を調べると「消費電力200W」「600W」といった数字が出てきます。
この定格消費電力に電力量単価をかけて計算している解説が多いのですが、それでは実際より大幅に高い金額になります。
理由は、こたつがサーモスタットで運転と停止を繰り返しているからです。
設定温度に達するとヒーターは止まり、下がると再び動きます。
1時間つけっぱなしにしていても、ヒーターが実際に通電しているのはその一部にすぎません。
これはメーカーの公表値で確認できます。
山善は製品ごとに「定格消費電力」とは別に「標準消費電力量(1時間あたり)」を公表しています。
| 製品(山善) | ヒーターの種類 | 定格消費電力 | 標準消費電力量(強・1時間) | 定格に対する割合 | 電気代の目安(強・1時間) |
|---|---|---|---|---|---|
| YH-304 | U字型石英管 | 300W | 約160Wh | 53% | 約5.0円 |
| YHF-HD605E | U字型ハロゲン(エコタイプ) | 最大600W/最小90W | 約180Wh | 30% | 約5.6円 |
| GKF-MDN802H | カーボン(フラットヒーター) | 最大200W/最小60W | 約110Wh | 55% | 約3.4円 |
※出典:山善「YAMAZEN BOOK」製品情報の仕様表(YH-304/YHF-HD605E/GKF-MDN802H・確認日2026年8月11日)。
電気代の目安はいずれもメーカーが31円/kWhで算出した公表値です。
定格600Wと定格300Wで、電気代はほとんど変わらない
上の表でいちばん目を引くのは、定格が2倍違う600Wと300Wで、1時間あたりの電気代が5.6円と5.0円しか変わらないことです。
定格でそのまま計算すると、600Wは18.6円/時、300Wは9.3円/時になり、2倍の差がつくはずでした。
実際にはハロゲンの稼働率が30%と低いため、差はわずか0.6円に縮まります。
つまり「何Wのこたつか」で電気代を判断することはできません。
カタログの定格Wは「最大でどれだけ電気を使うか」を示す数字であって、実際に払う金額とは別物です。
当ページのシミュレーターが「稼働率」を入力できるようにしているのは、この差を埋めるためです。
初期値の60%は、上の3機種の実測値(30〜55%)と、断熱の効いた一般的な使い方を踏まえた値にしています。
床に直接置いている・掛け布団が小さいなど熱が逃げやすい環境では稼働率が上がり、実際の電気代も上がります。
こたつのヒーターは3種類。選び方で電気代が1.6倍変わる
こたつの熱源は大きく3種類あり、実際の電気代はここで決まります。
上の山善の公表値で比べると、いちばん安いカーボンと、いちばん高いハロゲンで1.6倍の差です(3.4円と5.6円)。
U字型石英管ヒーター
古くからある定番の熱源です。
遠赤外線でじんわり暖め、価格が安いのが利点です。
山善のYH-304は定格300Wで、強の標準消費電力量は約160Wh(1時間あたり約5.0円)。
ヒーターの出っ張りがあるため、足を伸ばしたときに当たることがあります。
U字型ハロゲンヒーター
ハロゲンランプで発熱し、すぐ暖まる即暖性が特長です。
定格は600Wと大きいものの、サーモスタットの稼働率が30%と低いため、実際の電気代は約5.6円/時と石英管に近い水準に収まります。
短時間だけ強く暖めたい使い方に向きます。
フラットカーボンヒーター
薄いカーボンフィルムで発熱するタイプで、3種類のなかで最も電気代が安く、出っ張りがないので足を伸ばせます。
山善のGKF-MDN802Hは定格が最大200W/最小60Wと小さく、強でも約110Wh(1時間あたり約3.4円)。
本体価格は高めですが、電気代と使い勝手の両方で有利です。
| ヒーター | 電気代(強・1時間) | 1ヶ月(5時間×30日) | ひと冬(4ヶ月) | 石英管との差 |
|---|---|---|---|---|
| フラットカーボン | 約3.4円 | 約510円 | 約2,040円 | −960円 |
| U字型石英管 | 約5.0円 | 約750円 | 約3,000円 | — |
| U字型ハロゲン | 約5.6円 | 約840円 | 約3,360円 | +360円 |
※メーカー公表の電気代目安(31円/kWh)をもとに当サイトが月額・冬季合計を計算。
node.jsで全数値を検算しました。
ひと冬の差は最大でも1,320円です。
買い替えを電気代だけで正当化するのは難しく、足の当たらないフラット形状や人感センサーといった使い勝手のほうが判断材料になります。
ちなみに山善には人感センサー付きのヒーター(YHF-HDN601HS・600W)もあり、席を外したときの消し忘れを防げます。
条件別の電気代早見表
上のツールと同じ式で、代表的な条件を先に計算しました。
稼働率60%・31円/kWhでの金額です。
| 設定(消費電力) | 1時間 | 1日5時間 | 1ヶ月(5時間×30日) | 1ヶ月(8時間×30日) |
|---|---|---|---|---|
| 弱(80W) | 約1.5円 | 約7.4円 | 約223円 | 約357円 |
| 中(130W) | 約2.4円 | 約12.1円 | 約363円 | 約580円 |
| 強(200W) | 約3.7円 | 約18.6円 | 約558円 | 約893円 |
| 大型・ダイニング(600W) | 約11.2円 | 約55.8円 | 約1,674円 | 約2,678円 |
一般的な座卓タイプを強で1日5時間使っても、1ヶ月で約558円です。
ひと冬(12〜3月の4ヶ月)でも2,232円ほどにしかなりません。
ダイニングこたつなど大型の機種は消費電力が600W前後と大きくなりますが、それでも1ヶ月1,674円です。
つけっぱなしにするといくらか
「こたつを消し忘れた」「1日中つけている」という場合の金額です。
強(200W)で計算します。
| 使用時間 | 1日 | 1ヶ月(30日) | ひと冬(4ヶ月) |
|---|---|---|---|
| 5時間 | 約18.6円 | 約558円 | 約2,232円 |
| 8時間 | 約29.8円 | 約893円 | 約3,571円 |
| 12時間 | 約44.6円 | 約1,339円 | 約5,357円 |
| 24時間(つけっぱなし) | 約89.3円 | 約2,678円 | 約10,714円 |
24時間つけっぱなしにしても1ヶ月2,678円です。
これはエアコン暖房を1日8時間使った場合(約4,613円)より安い金額になります。
もちろん消し忘れをすすめるものではありませんが、「うっかりつけっぱなしにしてしまった」ときに慌てるほどの金額ではない、という感覚は持っておいてよいと思います。
なぜこんなに安いのか
理由は単純で、暖める空間が狭いからです。
エアコンやオイルヒーターは部屋全体の空気を暖めます。
天井まで含めた数十立方メートルの空気を温度上昇させる必要があるため、大きなエネルギーが要ります。
一方こたつが暖めるのは、布団の中の限られた空間だけです。
しかも布団が断熱材の役割を果たすため、熱がほとんど逃げません。
そのぶん消費電力も小さくなります。
| 暖房器具 | 消費電力の目安 | 暖める対象 |
|---|---|---|
| こたつ(強) | 200W | 布団の中だけ |
| 電気毛布 | 50W | 体に触れている面だけ |
| ホットカーペット(2畳・中) | 500W | 床の面 |
| エアコン暖房 | 平均620W | 部屋全体の空気 |
| オイルヒーター(強) | 1,200W | 部屋全体の空気 |
| セラミックヒーター(強) | 1,100W | 正面の狭い範囲+空気 |
こたつと電気毛布が安いのは、部屋ではなく人の周りだけを暖めているからです。
裏を返せば、こたつから出ると寒いという弱点もそこから来ています。
他の暖房器具との比較
1日5時間・30日・31円/kWhで揃えて比較します(こたつとオイルヒーターは稼働率60%)。
| 暖房器具 | 1ヶ月(5時間×30日) | こたつとの差 |
|---|---|---|
| 電気毛布(50W) | 約232円 | −326円 |
| こたつ・強(200W) | 約558円 | — |
| ホットカーペット(500W) | 約2,325円 | +1,767円 |
| エアコン暖房(620W) | 約2,883円 | +2,325円 |
| オイルヒーター(1,200W) | 約3,348円 | +2,790円 |
| セラミックヒーター(1,100W) | 約5,115円 | +4,557円 |
こたつはエアコン暖房の5分の1、セラミックヒーターの9分の1です。
電気毛布だけがこたつより安く、この2つが暖房器具の中では突出して安価な選択肢になります。
電気代を下げる2つの方法(実測値つき)
資源エネルギー庁が省エネルギーセンターの実測値をもとに公表している、こたつの省エネ効果です。
いずれも1日5時間使用での年間の数値です。
| やること | 年間の削減量 | 年間の節約額 |
|---|---|---|
| こたつ布団に上掛けと敷布団を併用する | 32.48kWh | 約1,010円 |
| 温度調節を「強」から「中」に下げる | 48.95kWh | 約1,520円 |
注目したいのは金額の大きさです。
こたつを強で1日5時間・30日使った電気代が約558円なのに対し、この2つの対策の節約額は年間で合計2,530円。
ひと冬の電気代(約2,232円)を上回ります。
これは省エネ庁の試算が年間(通年)ベースであるためですが、いずれにせよ布団まわりの断熱と設定温度が、こたつの電気代を大きく左右することは確かです。
- 敷布団を敷く——床に直接置くと熱が床へ逃げます。
断熱マットでも代用できます - 上掛けをかける——こたつ布団の上にもう1枚かけるだけで、逃げる熱が減ります
- 強で使い続けない——暖まったら中や弱に落とす。
稼働率も下がるため二重に効きます
なお、資源エネルギー庁は「こたつはおもに腰から下を温める暖房機器なので、上半身は寒くなりがち。
カーディガンなどを1枚多めに着込むことが温かさのポイント」とも案内しています。
節約方法をもう5つ——効くのは「熱を逃がさない」ことだけ
上の2つは資源エネルギー庁が実測値を出している対策です。
ここでは、それ以外に効果が見込めるものを整理します。
いずれも共通しているのは「布団の中の熱を逃がさない」という一点で、こたつの電気代は結局そこで決まります。
①床に断熱シートやラグを敷く
フローリングに直接こたつを置くと、熱が床へ逃げ続けます。
床が冷たいほどサーモスタットが頻繁に作動し、稼働率そのものが上がります。
敷布団や厚手のラグ、断熱シートを1枚挟むだけで、同じ設定でも消費量が下がります。
②掛け布団はサイズの合ったものを使う
天板からはみ出す長さが足りないと、隙間から暖気が抜けます。
大きすぎても床で折り返って隙間ができるため、こたつのサイズに合ったものを選ぶのが基本です。
③暖まったら「強」から落とす
こたつは立ち上がりだけ強で、あとは中や弱で保温すれば足ります。
資源エネルギー庁の実測では強→中で年間48.95kWh(約1,520円)の削減です。
設定を下げると1回あたりの消費電力と稼働率の両方が下がるため、二重に効きます。
④人感センサー付きを選ぶ・消し忘れを減らす
席を外している間の通電がいちばん無駄になります。
山善のYHF-HDN601HSのように人感センサー付きのヒーターなら、離席時に自動で出力を落とせます。
手動でも、部屋を出るときに切る習慣をつけるだけで同じ効果です。
⑤他の暖房と組み合わせて、エアコンの設定温度を下げる
こたつ単体の節約より、こたつを使ってエアコンを下げるほうが金額は大きくなります。
詳しくは次の章で扱います。
「こまめに消す」は、こたつの場合は効果が限定的です。
布団の中が冷えきってから入れ直すと、立ち上げで強く運転する時間が増えるためです。
短時間の離席なら弱に落とすほうが有利で、長時間空けるときに切る、という使い分けになります。
他の暖房器具と組み合わせる——いちばん効くのはエアコンとの併用
こたつは足元しか暖めません。
そのぶん、部屋を暖める機器と役割を分けると、全体の電気代が下がります。
こたつ+エアコン(もっとも効果が大きい)
資源エネルギー庁の実測では、暖房の設定温度を21℃から20℃に下げると年間約1,650円の節約になります。
こたつがあれば足元が暖かいため、この1℃を下げても寒さを感じにくくなります。
こたつ自体のひと冬の電気代が約2,232円であることを考えると、エアコンを1℃下げるだけで、こたつの電気代の7割以上を取り返せる計算です。
こたつ+電気毛布
電気毛布は50W前後と、暖房器具のなかで最も消費電力が小さい部類です。
1日5時間・30日で約232円。
こたつに入っていないときの上半身の寒さを、低コストで補えます。
金額の詳細は電気毛布の電気代で計算できます。
こたつ+ホットカーペット(重ねない)
ホットカーペットは2畳・中で500W前後、1日5時間・30日で約2,325円と、こたつの4倍以上かかります。
こたつの下に敷いて同時に使うと電気代が跳ね上がるため、併用するなら「こたつを使う時間はホットカーペットを切る」のが前提です。
断熱目的なら、通電しないラグや断熱シートのほうが合理的です。
電気代以外のメリットとデメリット
金額だけで選ぶとこたつが最有力になりますが、向き不向きははっきりしています。
メリット
- 空気を汚さず、乾燥しにくい——燃焼を伴わないため換気が要らず、エアコンのように風で乾燥させることもありません。
- すぐ暖かくなる——暖める空間が狭いので、部屋全体を暖める機器より立ち上がりが速くなります。
- 電気代が突出して安い——エアコン暖房の5分の1、セラミックヒーターの9分の1です。
デメリット
- 部屋の温度は上がらない——こたつから出ると寒く、室温が10℃を下回る部屋では別の暖房が要ります。
- 上半身が冷える——資源エネルギー庁も「カーディガンなどを1枚多めに着込むことが温かさのポイント」と案内しています。
- 場所を取る・動きにくい——家事や立ち仕事の多い時間帯には向きません。
- 眠ってしまうと脱水のおそれがある——長時間の就寝には使わないでください。
こたつだけで冬を越せるか
電気代だけを見れば、こたつは圧倒的に有利です。
ただし部屋の温度は上がりません。
判断の目安を整理します。
| こたつで足りる場面 | 部屋の暖房が要る場面 |
|---|---|
| 座って過ごす時間が長い(在宅ワーク・テレビ) | 立って動き回る(家事・料理) |
| ひとりで過ごす | 複数人がそれぞれ別のことをする |
| 部屋が狭い・断熱がよい | 部屋が広い・窓が大きい |
| 寒さがそこまで厳しくない地域 | 室温が10℃を下回る |
現実的には「エアコンを低めの設定にして、こたつを併用する」のが電気代と快適さのバランスが取りやすい組み合わせです。
エアコンの設定温度を1℃下げると年間約1,650円の節約になります(資源エネルギー庁の実測値・暖房を21℃から20℃にした場合)。
こたつがあれば、その1℃を下げても寒さを感じにくくなります。
逆に、室温が下がりすぎる部屋でこたつだけに頼ると、こたつから出られなくなる・上半身が冷えるといった別の問題が出ます。
健康面を優先して判断してください。
よくある質問
- Q. こたつの電気代は1ヶ月いくら?
- A. 強(200W)を1日5時間・30日・稼働率60%で使うと、31円/kWhで約558円です。
1日8時間なら約893円、24時間つけっぱなしでも約2,678円です。 - Q. つけっぱなしにするといくら?
- A. 強(200W)を24時間つけっぱなしにすると、1日約89円、1ヶ月で約2,678円です。
エアコン暖房を1日8時間使う場合(約4,613円)より安く収まります。 - Q. エアコン暖房とどちらが安い?
- A. こたつのほうが大幅に安く済みます。
1日5時間・30日で比べると、こたつ約558円に対しエアコン暖房は約2,883円で、5倍以上の差があります。
ただしこたつは部屋全体を暖めないため、用途が違います。 - Q. 電気代を下げる方法は?
- A. 資源エネルギー庁の実測値では、こたつ布団に上掛けと敷布団を併用すると年間約1,010円、温度調節を強から中に下げると年間約1,520円の節約になります(いずれも1日5時間使用)。
床への熱の逃げを減らすことと、設定温度を下げることの2つが効きます。 - Q. 消費電力は何W?
- A. 一般的な座卓タイプで強が200W前後、弱が80W前後です。
ダイニングこたつなど大型の機種では600W前後になります。
ただしサーモスタットで運転と停止を繰り返すため、常にこの電力を消費し続けるわけではありません。 - Q. こたつと電気毛布はどちらが安い?
- A. 電気毛布のほうが安く、1日5時間・30日で約232円です(こたつは約558円)。
ただし電気毛布は体に触れている面しか暖めないため、こたつのように「足を入れて過ごす」使い方はできません。
消費電力は一般的な機種の目安であり、機種・使用状況により変動します。
稼働率60%は初期値です。
実際は室温・設定・布団の断熱性で変わります。
省エネ効果の数値は資源エネルギー庁が省エネルギーセンターの実測値をもとに公表しているもので、いずれも1日5時間使用・年間の値です。
他の暖房器具との比較は、当サイトの電気代計算ツールと同じ条件で算出しています。
出典:全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問/資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「空調」
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